◆歯科用CTと医科用CTの違い
まずは簡単に。歯科用CTと医科用CTの違いは下表のようになります。

つまり歯科用CTとは、歯牙や顎骨を撮影するため非常に細かいスライスが可能な装置で、被曝量が少なく、医科用CT と比べて安価で小さい、ということになります。

◆CBCT
歯科用CTはほかに、デンタルCT、CBCT(コーンビームCT)と呼ばれることがあります。正確にはCBCTと言うのが正しいと 思います。ではコーンビームとは何か。下図を用いて説明していきます。

医科用CTはファンビームです。ファンというのは扇形という意味で、エックス線束が扇形に照射されます。それに対して 歯科用CTはコーンビームです。コーンというのは円錐形という意味で、エックス線束が円錐形に照射されます。これにより 何が違うのかというと、ファンビームは基本1周の撮影で1枚の画像しか撮影できませんが、コーンビームは1周の撮影で 数百枚の画像が撮影できます(最近ではファンビームで320列のヘリカルCTもありますが、とても高価です)。コーンビーム 方式のおかげで、低被曝、短時間で細かいスライス画像取得が可能となります。

◆画像再構成
医科用CTは撮影することにより、瞬時にスライス画像を取得します。これらはAxial画像のみなので、任意画像を 見たい場合には、事前に画像再構成というコンピュータ処理が必要となります。

歯科用CTは撮影することにより、瞬時にボリュームデータを取得します。ボリュームデータ取得と同時に画像再構成も 自動的に行われ、機種にもよりますがおよそ2〜3分程度でコンピュータ処理が完了します。既に画像再構成までの処理を 終えているため、その後は任意画像も容易に見ることができます。

◆画質の違い
下図は一例です。左はHITACHI社製歯科用CTをD-modeで撮影した画像、右は同じ歯牙を医科用CTで撮影した画像です。 ご覧の通り、医科用CTの画像では「ギザギザ」が見えますが、ボクセル体積比で90倍画質が良い歯科用CTでは、画像は 非常に滑らかで、明らかな「ギザギザ」は認められません。


◆金属アーチファクト(障害陰影)
下図は一例です。左はHITACHI社製歯科用CTをI-modeで撮影した画像、右は同じ顎骨を医科用CTで撮影した画像です。 ご覧の通り、医科用CTの画像では左上6番の金属アーチファクトが著明ですが、歯科用CTでは金属アーチファクトはあまり 目立ちません。


◆結論
他にも歯科用CTと医科用CTの違いはございますが、主なものを述べました。以上のことから、歯科用CTは 歯科に特化した非常に有用な装置であると言えます。