◆難症例について -画像センターと大学病院-

日常臨床で必ず遭遇する難症例。臨床における悩みの大きな部分を占めていると思います。一口に難症例といっても、実は様々なタイプがございます。見たこともない画像所見の症例、長く治療しても一向に症状が軽快しない症例、設備・技術の面から大学病院レベルの治療が必要と思われる症例など・・・。

通常、難症例は大学病院へ紹介されますが、これは必ずしも大学病院で治療してもらうためではありません。まず最初に、大学病院において最高レベルの検査・診断をするためです。その結果、大学病院で治療するのか、紹介元の歯科医院へ戻るのかを患者様が選択し、あらたに治療がスタートするわけです。大事なことは、正しい診断があってこそ、その後の治療効果が見込めるわけです。

長く大学病院に勤めて感じたことですが、「いわゆる難症例」の何割かは、最初の診断が間違っていたために難症例と判断された「実は難診断症例」です。 そして本当の難症例も、難症例であるがゆえに、高度な画像検査と正確な診断を必要としています。

本当の難症例
高度な設備・技術が必要
大学病院での治療がベター
高度な画像検査・診断が不可欠
実は難診断症例 普通の治療でOK/実は抜歯症例or正常像
開業医で治療可能

「難診断症例」というのは私の造語です。「誤診」と区別するために使いました。誤診というのは、「医者が誤った診断を下すこと」ですが、一般的認識として「誤診」は「当然正しく診断できるものを、医者の不注意で見落とした・見誤った」という解釈です。歯科はとても小さい所見を診断する必要があり、診断が難しい症例も多いと思います。そしてデンタルCTは「難診断症例」を「診断可能症例」へと変えてくれるツールです。

これまでの歯科での診断

これからの歯科での診断(デンタルCTを用いた場合)


まだまだ数は少ないですが、大都市では数軒の画像センターがございます。デンタルCTをお持ちでない歯科医院の患者様を撮影させていただき、検査結果をお返しする検査機関です。画像センターと大学病院を比較した場合、

負担
大学病院
画像センター
時間的 診断が出るまで最低2回通院。
1度の来院で受付から会計まで30分程度です。
金銭的 保険がきく場合でも、初診料や種々の検査のため、それなりの料金になる。 歯科用CTを撮影するだけで、他の検査は行いません。
精神的 大学病院というだけで大変です。診断結果がわかるまで心配です。 先生方は診断結果をご覧になり、後日患者様にわかりやすく説明して下さい。

診断結果と患者様の意向から、大学病院で治療することになった場合。画像センターでの結果を持って大学病院をご紹介下さい。すでに診断結果が出ているわけですから、初診時から今後の治療方針に関してのお話になると思います。検査に時間を取られることもなく、初診時に治療方針まで決まれば、患者様も安心されると思います。

難症例は、実は「難診断症例」なのかもしれません。そのために先生方も患者様も、多くの時間的、金銭的、精神的負担を強いられているのかもしれません。臨床で違和感を感じた時、首を傾げたくなるような時、「難診断症例」なのかも・・・と考えてみると、案外良い結果が得られると思います。

医科では、大学病院や大きな病院へ紹介する前にまずCT、MRIなどで精査してから、という考え方は定着しています。画像センターが普及し選択肢も幅広いため、比較的容易に画像検査・診断を受けることが可能です。歯科でもそのような状況が患者様のために有益だと思いますが、残念ながら画像センターが少ないのが現状です。ちなみにアメリカでは、都市部を中心に100を越える歯科画像センターが存在しております。多くの歯科で、今より近くて、簡単に、便利に、有益な画像診断情報が得られる。そんな世の中にしていきたいと思っております。

もちろん、最高レベルの診断結果を提供します。大学病院で13年間、歯科放射線科に在籍した専門医(認定医)が診断します。これまで8000件以上の歯科用CTの撮影・読影業務を経験しており、これまでさまざまな症例に対応させていただきました。地域医療のため、歯科のため、患者様のため、微力ながら全力で取り組んでいきたいと思っています。